相続登記の申請の流れ
近年、土地や建物の相続登記がされないために所有者が不明となった土地や建物が、防災・減災、まちづくりなどの公共事業の妨げになっていることが社会問題となっています。
この解決を図るため、法律が改正され、令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。また、同日以前の相続であっても、相続登記がされていないものは、義務化の対象になります。相続登記をすることは、土地や建物の所有関係をはっきりさせる(相続によって自分が所有していることを他人に主張する)ことができるようになるため、みなさまご自身(ご家族)にとってもメリットがあります。
遺産分割協議による相続登記の申請は、通常、次の①から⑤までの流れで行います。
<ステップ①> | 戸籍関係書類の取得・ 相続開始の証明と法定相続人の特定 |
<ステップ②> | 遺産分割協議・協議書の作成 協議・話し合いによる土地・建物の所有者の確定とその書面化
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<ステップ③> | 登記申請書の作成 法務局(登記所)提出書類の作成
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<ステップ④> | 登記申請書の提出 法務局(登記所)へ提出 |
<ステップ⑤> | 登記完了法務局(登記所)から登記完了証 登記識別情報通知書の交付 |
2 戸籍関係書類の取得
相続の開始があったことを証明し、また、法定相続人を特定するための戸籍関係書類(戸籍の記録事項証明書(戸籍謄抄本、除籍謄抄本))を取得します。
(1) 相続登記の申請に必要な戸籍関係書類 相続登記の申請では、戸籍関係書類(戸籍の記録事項証明書(戸籍謄抄本、除籍謄抄本))によって、
①相続が開始したこと(土地・建物の所有者が死亡した事実)を証明するとともに、
②法定相続人を特定する(他に相続人がいないことを証明する)必要があります(注)
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの経緯が分かる戸籍関係書類(戸籍の記録事項証明書(戸籍謄抄本、除籍謄抄本))を取得します。婚姻などによって新戸籍の編製がされている場合には、その新しい戸籍から古い戸籍にさかのぼって相続人が誰であるか(他に相続人がいないこと)を確認します。
新しい戸籍謄本
古い戸籍謄本
遺産分割協議・協議書の作成
相続人の間で、被相続人(亡くなった方)の財産をどのように分けるかを協議・話し合い(遺産の分割)を行い、遺産分割協議書として書面を作成します。遺産の分割の方法や、遺産分割協議書の作成について専門家に相談したい場合は、法律の専門資格者や各種の法律相談窓口にお問い合わせることも可能です。
法務局では遺産分割協議書の作成については、相談することが出来ませんので、その際は相続の手続きの専門家に相談してください。
遺産分割協議書の書き方のイメージ
遺産分割協議書の具体的書き方
- 遺産分割協議書のタイトル: ドキュメントの上部に「遺産分割協議書」というタイトルを記載します。
- 締結日: 協議書の作成日を明示します。
- 当事者の情報: 協議に参加する全ての相続人の氏名、住所、連絡先などの個人情報を明記します。
- 遺産の詳細: 分割する遺産の詳細な情報を記載します。これには不動産、預貯金、投資資産、貴重品などの具体的な財産や資産のリストが含まれます。
- 分割方法: 相続人間での合意に基づいて、財産や資産の分割方法を具体的に記載します。分割比率や具体的な分割アイテムの指定など、遺産の公平な分配に関する詳細な内容を明確にします。
- 署名と日付: 全ての相続人が協議書に署名し、日付を記載します。また、証人の署名も取得することが望ましいです。
遺産分割協議書は、相続人間の意思を確認し、遺産の公平な分配を確保するために重要です。
しかし、遺産分割は複雑な問題を含む場合があり、法的な要件や税務上の規制に関わる場合もあるため、専門家の助言を受けることが重要です。
相続の専門家に相談し、具体的な状況に合わせた遺産分割協議書の作成を行うことをおすすめします。
登記申請書の作成
登記申請書は、法務局ホームページから様式をダウンロードして作成することができます。
※ 登記申請書の様式を掲載している法務局ホームページからダウンロードして作成します
ダウンロードの画面イメージ
登録申請書の作成
これ以外に相続関係説明図
相続手続きに困ったときは専門家に相談してください
登記申請書の作成における共通の注意事項
い。)、登記申請書と併せて提出する必要のある添付書類(添付情報)とともに、左とじにして提出してください② 文字は、直接パソコン(又はワープロ)を使用して入力するか、黒色インク、黒色ボールペン等(インクが消せるものは不可)で、はっきりと記載してください。鉛筆は使用することが
できません。③ 登記申請書が複数枚にわたる場合は、申請人(申請人が二人以上いる場合は、そのうちの一人で可)が、ホチキスどめした各用紙のつづり目に契印をしてください。
〇 登記の目的
相続登記は、所有権の移転の登記に該当するため、「所有権移転」と記載します。
○ 原因
相続が開始した日(被相続人(亡くなった方)が死亡した日)を記載します。遺産分割協議が成立した日ではありませんので、注意してください。
○ 相続人
① 被相続人(亡くなった方)の氏名を記載します。
② 相続人(土地・建物を相続した人)の住所と氏名を住民票の写しに記載されているとおりに記載し、相続(遺産分割協議)によって取得した権利の持分を記載します。
③ 住民票コード(住民票の写し等に記載されています。)の記載は必須ではありませんが、住民票コードを記載すると、登記申請書と併せて提出する必要のある住所証明情報(住民票の写し)の添付を省略することができます
④ 提出された登記申請書の内容に誤りがあった場合や、提出書類に不足等があった場合には、法務局(登記所)の担当者から連絡しますので、平日の日中に連絡を受けることができる電話
番号(携帯電話の電話番号等)を記載します。
○ 添付情報
登録免許税
登録免許税額を記載します。登録免許税額は、原則として、課税価格に税率(相続による所有権の移転の登記の税率は1,000 分の4)を乗じて計算した額で、その計算した額が1,000 円に満たないときは、1,000 円となります
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