相続はその時にならなければ分からない部分も多いですがなぜ揉めるのでしょう

相続なぜ揉める

1.相続財産が少なくても、遺産トラブルが起こる

これは平成27年における最高裁判所の調査結果で、「遺産分割調停事件」の総数と、相続財産の価額を割合で示したものです。

これによると、遺産分割調停事件の32%以上が相続財産1000万円以下、43%以上が5000万円以下の事案です。合計すると、相続財産が5000万円以下の案件が全体の75%以上を占めています。遺産トラブルは、ドラマであるような富裕層だけの問題ではなく、一般家庭でも頻繁に生じていることがわかります。

『自分たちにはもめるほどの遺産はないから』と油断して対策を怠ると、後に大変な遺産トラブルが起こるおそれがあります。

そこで、相続がもめる場合とその対処方法を抑えておきましょう。

2.パターン別:相続トラブルの原因と対策

目録がなく、相続財産の内容が不透明

遺産相続がもめる大きな原因は、相続財産の内容が不透明なことです。

なにが相続財産なのかが分からないため、相続人が「もっと遺産があるのではないか」と考えて、互いに不信感を持ち、争いに発展していきます。

このような問題を避けるためには、被相続人(亡くなる人)が亡くなる前、事前にきちんと資産内容を明らかにしておく必要があります。

具体的には、「遺産目録」を作って遺産内容を明確にしましょう。

できれば「遺言書」も一緒に作成して、遺産の分け方を指定し、相続人同士が争わないで済むように準備しておくと理想的です。

(2)遺産の使い込みを疑う

相続人同士で、互いに遺産の使い込みを疑うケースがあります。

よくあるのが、兄弟のうち誰かが親と同居していた場合に親が亡くなったケースです。『(同居人が)貯金を使い込んでいたのでは?』などと、他の兄弟から疑われます。

同居人が使い込みを否定しても、他の兄弟は聞く耳を持たず、『使い込んでいないことを証明しろ』などと言って、同居人がどんな証拠を出しても納得しません。

また、使い込みを疑われた方も意地になって、『悪いことは何もしていない。こっちが親の面倒を見ていたくらいだ』などと言い出すので、余計にもめ事が大きくなります。

対策としては、親の財産と同居人(相続人)の財産をしっかりと分けておくことです。支出なども、誰がどの支払をするのか明確にしておくと、後になって「使い込んだ」と言われることを避けることができます。

たとえば、水道光熱費は誰が支払うのか、食費は誰が支払うのかなどの基本的なルールを決めた上で、自分のものは自分のお金で買うことを徹底し、領収証なども管理しておくと良いでしょう。

(3)隠し財産を疑う

相続人が他の相続人に対し、隠し財産を疑うケースがあります。

この場合にも多いのが、『同居人が遺産の一部を隠している!』と疑われるパターンです。たとえば、相続財産の中で預貯金が少なかったり、口座内の残高がほとんどなかったりすると、「他に隠し口座があるのでは?」なとど疑われます。

この場合の対策も、やはり相続財産の内容を被相続人の生前に明らかにしておくことです。

被相続人自身が作成した遺産目録があれば、それ以外に隠し財産が無いことがわかるので、無用な疑いや相続トラブルを回避できます。

(4)相続財産の多くが不動産

相続財産の多くが不動産である場合も、トラブルになりがちです。現金や預貯金は、相続人の数に応じて頭割りして分割できるので、比較的遺産分けがしやすいです。

ところが不動産はそうは行きません。共有にすると後々に不都合が起こりますし、かといって誰か1人が相続するとなると、(通常不動産は高額なので)他の相続人との間で不平等が生じます。

そこで、不動産を相続する人が他の相続人に代償金を支払う方法によって遺産分割する方法があります。

ただ、相続したい人に資力がない場合、代償金が払えずに問題になります。

また、不動産の評価方法は、現金預貯金のように一律ではないので、「評価額をいくらとするか」で意見が合わず、もめることもあります。

たとえば、相続財産が実家の不動産のみというケースでは、実家にもともと住んでいた長男がそのまま住み続けたいので相続を希望することなどがありますが、この場合、長男に代償金を支払う資力がないと、大きな問題が起こります。この場合、代償金が支払われない限り他の兄弟は納得しませんが、かといって家を売って分けるとすると、長男は住む家を失うことになってしまうので、大問題になります。家の評価に争いがあると、代償金の金額についても争いが発生します。

このようなトラブルを避けるためには、親の生前からきちんと話し合いをして、死後の遺産の分け方を考えておくべきです。

親の考えで実家を長男に相続させるのも良いですが、その場合、他の財産をある程度他の兄弟にも残す工夫をして、なるべく不公平が起こらないようにしましょう。

あまりに不均衡が起こる場合には、いっそのこと家を売って、長男は自力で別の家を探すことも1つの問題解決方法になります。

(5)生前贈与が行われている

相続がもめるパターンとして、生前贈与が行われているケースがあります。

生前贈与とは、被相続人の生前に特定の相続人に対して財産を贈与することです。生前贈与があると、その贈与された財産も遺産に含めて計算することによって不公平が起こらないようにしますが、この場合、そもそも何が生前贈与に該当して、どのように評価するかが問題になることが多いです。

たとえば、姉が不動産を生前贈与されているとしても、その不動産がいくらの評価なのかが問題になりますし、姉は「代金を支払ったから贈与ではない」と主張して生前贈与を否定することなどもあります。

生前贈与にまつわる問題を避けるためには、あまりに不均衡な生前贈与や不透明な生前贈与をしないことです。贈与をするなら、なるべく全ての相続人に公平になるように配慮し、明細などを作成して「いくら出したのか」を明らかにしておきましょう。

(6)遺言の内容が偏っている

相続がもめる原因として、偏った遺言がある場合が挙げられます。

通常、遺言がないと相続人同士で遺産分割をしなければならないので遺産トラブルが起こりがちだと言われます。そこで、相続対策として遺言をすることが多いですが、この遺言内容に偏りがあると、別の相続トラブルの原因になります。

たとえば、兄弟姉妹以外の相続人には、「遺留分」という、最低限の相続分があります。被相続人が、内縁の妻や愛人、認知した子どもなどに財産を残す遺言をしており、その財産があまりにも大きすぎたりすると、他の相続人の遺留分を侵害してしまい、トラブルになります。

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遺言書を作成するなら、法定相続人の遺留分を侵害しないように配慮することが大切です。

(7)同居と別居の立場をわかり合えない

相続トラブルの原因として、相続人間で同居と別居のお互いの立場を理解し合えないことが挙げられます。

たとえば、介護しながら親と同居していた相続人などは、『介護で大変だった分、他の相続人よりも多めに遺産をもらっても良いのでは?』と考えていることが多いです。

これに対して、別居していた相続人は、『同居中、親から金銭的に面倒を見てもらっていたに違いない。同居人の遺産の取り分は減らすべきだ』と考えます。

このようなお互いへの理解の不足が、相続トラブルにつながっていきます。

この問題を避けるには、相続人となった兄弟同士が互いの立場を理解することが重要です。遺産分けでは、自分の立場や主張だけを押し通すのではなく、相手の立場に立って考えることも重要です。

(8)兄弟姉妹(相続人)の配偶者との不仲

相続トラブルは、親が亡くなった後の兄弟間で起こることが多いです。この場合、兄弟姉妹だけなら問題は起こらなくても、その配偶者が絡むことによって問題が大きくなるケースがよくあります。

兄弟姉妹とは仲が良くても、結婚したとたんに疎遠になる人がいますし、もともと配偶者と兄弟のそりが合わないこともよくあります。

このような場合、いったん相続トラブルが起こると、兄弟は『兄の嫁が余計なことを言っているに違いない。あの嫁が入れ知恵をしているに違いない』『兄に遺産がいくのは許せるが、あの兄嫁が親のお金を使うのは許せない』などと考えます。

また、配偶者の方も『うっとおしい小姑に文句を言われる筋合いはない』『介護で苦労したのだから、その分できるだけ多くの遺産をとってやろう』と考えて、夫である相続人に対して遺産を少しでも多く獲得するようにけしかけたりします。

このように、配偶者と相続人との不仲の問題がある場合、仲良くするのはほとんど不可能ですので、やはり親が生前にきちんと遺言書を作成することによって、兄弟が自分たちで話しあいをしなくて済むように手配をしておくことが必要です。

(9)長男と他の兄弟の考え方が合わない

相続トラブルが起こる原因として、兄弟間の考え方が合わないことが挙げられます。

多いのが、長男が『自分は一家の長男で家を継ぐのだからすべての遺産をもらって当たり前』などと考えているけれども、他の兄弟は『そのような時代錯誤な考え方は通用しない。長男も他の兄弟も平等に遺産相続する権利がある』と考えているケースです。

このような場合、兄弟間で話し合いをしても平行線にしかなりません。

価値観の違いについてはどうしようもない場合もありますが、被相続人の生前に親がきちんと遺言書を作成しておくことにより、死後に兄弟が自分たちで遺産分割の話し合いをしなくて済むので有効な対策方法になります。

遺言書がない場合には、やはり兄弟が自分の立場や考え方だけを押し通すのではなく、相手の立場に立って考えることが解決の手助けになります。

3.相続トラブルを避けるための注意点

以上、相続がもめる主な原因と対処方法を解説してきましたが、以下では、相続がもめないための注意点を3つご紹介します。

相続財産の内容を明らかにする

相続トラブルを避けるためには、相続財産の内容を明らかにすることが重要です。

相続トラブルの多くは、その原因が遺産内容の不透明さにあります。遺産内容が不透明だから、使い込みを疑ったり隠し財産を疑ったりすることにつながります。

そこで、被相続人が生前にきちんと遺産目録を作成して、それをもとにした遺言書を作成しておくことが、有効な相続対策になります。

偏った分け方をしない

相続争いを避けるためには、被相続人が遺言書を作成しておくことが重要ですが、その場合、遺言書の内容にも配慮が必要です。

遺言書の内容に偏りがあると、相続人らの感情を刺激しますし、遺留分減殺請求などが起こって、かえって相続トラブルが悪化してしまうケースがあるからです。

よって、遺言書を作成する場合には、法定相続人の遺留分に配慮して、あまりに偏った内容にはならないようにしましょう。

また、生前贈与などをする場合にも、偏った贈与をすると、相続開始後、トラブルの原因になってしまいます。生前贈与をするなら、なるべく相続人ら(子ども達など)に平等に贈与を行い、贈与時の明細などは残しておくようにしましょう。

相続人らがお互いを信頼する

遺産相続トラブルが起こると、相続人同士が互いを全く信頼できなくなり、不信感が高まって次第に憎悪の固まりのようになってしまいます。

このような問題を避けるためには、相続人同士がお互いをある程度信頼し、相手の立場を尊重することが大切です。このように譲り合う姿勢も持って兄弟が話し合うことによって、遺産相続をスムーズに行うことができるケースは多いです。

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