遺言で出来る事出来ない事

遺産相続に関することは次の項目です。

●相続人の廃除等

相続人になる予定の人について、被相続人への虐待や重大な侮辱、その他の著しい非行などの法定の廃除事由が認められ、その相続人に遺産を渡したくない場合には、当該相続人の相続権を消失させることが出来ます。(民法第893条)


遺言による推定相続人の廃除(第八百九十三条)

被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

相続人の欠格事由第八百九十一条
次に掲げる者は、相続人となることができない。

1  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

2 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

3  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

4 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

5  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

●相続分の指定等

遺言書では、法定相続分である程度決まっている遺産の取り分を、遺言者が自由に決定することができます。

例)妻1人、子2人がいた場合

法定相続分:

妻(遺産の1/2)

子1(遺産の1/2×1/2=1/4)

子2(遺産の1/2×1/2=1/4)

遺言による指定:

妻(遺産の1/4)

子1(遺産の5/8)

子2(遺産の1/8)


(遺言による相続分の指定)第九百二条
被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。

2 被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。

遺産分割方法の指定と分割の禁止

遺言者は遺産分割の方法を決められることも民法第908条で明言されており、遺産分割方法を決めるのを第三者に委託すすることも可能です。さらに、相続開始の時から五年を超えない期間で、遺産の分割を禁ずることもできます。

遺産分割では揉めることも多いので、冷却期間を設ける意味合いもありますね。


遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止 第九百八条
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
引用元:民法第908条

相続財産の処分(遺贈)に関すること

●財産処分

遺言者の財産は、原則として法定相続人(配偶者や子など)に相続されますが、遺言者は、法定相続人とならない第三者(例えば愛人やお世話になった人など)や団体に対し、相続財産を遺贈する事が出来ます。

内縁の妻と子に関すること

●認知

婚約をしていない女性との間に出来たいわゆる隠し子がいる場合、遺言者は、遺言でこれを認知する(正式に自分の子であると認める)ことで、子として相続人に加える事が出来ます。

遺言の執行に関すること

●後見人の指定

残された子が未成年であり遺言者の死亡により親権者が不在となるような場合、遺言者は第三者を後見人とすることで当該未成年者の財産管理等を委ねる事が出来ます。

●相続人相互の担保責任の指定

遺産を相続したのに財産が他人の物であったり、欠陥があった場合、法律上他の相続人は担保責任を負うこととなります。遺言者は、当該担保責任の負担者や負担割合についても、遺言により指定する事が出来ます。

●遺言執行者の指定または指定の委託

遺産相続の結果、相続財産の名義変更が生じる場合、預貯金の名義変更や土地の変更登記のように事務手続が必要となることがあります。遺言者は、このような遺産相続を実施する上で必要となる手続を行う人(遺言執行者)を指定したり、第三者に指定を委任することが出来ます。

遺言書でも遺留分は侵害できない

相続人には遺言によっても除外できない一定以上の相続分(遺留分)が定められています(遺留分についての説明は後述します。)もしも、遺言の内容が遺留分を害する場合には、遺留分減殺請求により当該害する遺言部分を無効とすることが出来ます。


(遺言による相続分の指定)第九百二条
被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。

 

遺言書が無効になる場合

遺言書の効力が無効になる事例です。

自筆証書遺言で無効とされる例

1:パソコンで書いた遺言書

2:レコーダーなどで録音した遺言書

3:押印がない

4:日付の記載がない

5:日時が特定出来ない遺言書

6:遺言者以外が書いた遺言書

7:署名のない、あるいは他人が署名した遺言書

8:相続する財産の内容が不明確な遺言書

9:2人以上の共同で書いた遺言書

10:遺言作成の日ではない日付が記載された遺言書


1自筆証書遺言|第九百六十八条
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
と注意が必要です。

公正証書遺言の効力が無効になる例

11:公証人が不在の状態で作られた遺言書

12:証人になれない人が立ち会った遺言書(証人欠格要件に注意)

13:公証人に口授せず身振り手振りなどで伝えた遺言書(口授が大事)

14:証人が席を外している間に作られた遺言書

15:証人欠格者が立ち会っていて証人の要件が満たしていなくて、実質人数が足りていなかった遺言書


公正証書遺言|第九百六十九条
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。


1 証人二人以上の立会いがあること。
2 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
3 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
4 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
5 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。


秘密証書遺言の効力が無効になるケースは自筆証書遺言や公正証書遺言のケースとほぼ同じですが、公正証書遺言は公証人が適切な手続によって作成するのが通常ですので通常作成している場合は無効となることはありません。

特に多い自筆証書遺言は全文が自署ではないばあいや、押印がない、日付がない、などの初歩的なミスが多く見られます。

特別方式遺言書の効力が無効になる例


秘密証書遺言|第九百七十条
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
1 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
2 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
3 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
4 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2 第九百六十八条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

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