尊厳死宣言

尊厳死宣言とは

まず、尊厳死とは。尊厳死とは、病気やケガなどにより身体が弱り、呼吸や栄養摂取が自分の力ではできない状態になったとき、そのまま自然の摂理として死を迎えることが、生物として尊厳ある死に方であるとの考えに立つものです。

逆に、呼吸や栄養摂取が出来なくなってしまい、そのままでは生命が維持できなくなったときに、人工呼吸器や経管栄養(胃ろう栄養法や経鼻栄養法など)などで生命をより長く延長させることを延命治療であると考えます。


いわゆるこの尊厳死が正しいかどうかは人それぞれの考え方です。生物として相応しい時に死ぬことが人らしい死なのかもしれませんし、それとも高度な医療を獲得した人間にとっては延命治療こそが人らしい生であるのかもしれません。

ただ、上記の尊厳死、もしくは延命治療のどちらを希望される場合でも、本人のその希望が尊重されるべきだと思います。そのためには不要な延命治療を拒否、もしくは延命措置の希望をしなければなりません。そして、その人の考えはその人にしかわからないため、他者にその旨の意思表示が必要です。そして、尊厳死を望む方が、その意思を事前に残しておくことが尊厳死宣言です。

尊厳死宣言を公正証書で作るわけ

尊厳死宣言」という仰々しい名称がついていますが、要は不要な延命治療を拒否する旨の意思を示せばよいわけです。いざと言うときに自分でそれが出来れば「尊厳死宣言」など仰々しい言葉を使わずとも、家族や医師にその旨を伝えれば良いでしょう。

しかし、直接伝える間もなく延命治療の判断を行う必要に迫られてしまったときはどうでしょう。交通事故、脳卒中、急に進行してしまった認知症などなど。延命治療の拒否を自分ですることはできないかもしれません。

そのような危険を回避するため「尊厳死宣言公正証書」が存在します。自分の意思を、まだ元気で平穏なうちに残しておくのです。

それではなぜ公正証書なのでしょう。不要な延命治療の拒否を行うのは本人の確かな意思であることが大切です。しかし、口頭で誰かに伝えておく、自分の手で文章にしておく、などでも良いのですが、第三者である医師や、延命治療の拒否に反対する親族への説得力は欠けてしまいます。特に医師は延命治療を行わないという判断により、人が一人亡くなるわけですから責任は重大ですし、尊厳死に反対する遺族からの訴訟の危険性も抱えてしまいます。

そこで公正証書で残す意味が大きくなります。尊厳死宣言公正証書は公正証書の中でも「事実実験公正証書」という部類に入ります。これは公証人が自ら体験した事実を公正証書として残しておくもので、本人が宣言した不要な延命治療の拒否の意思を事実として公文書にて残すということです。

つまり、公正証書として残された尊厳死宣言は、その時点で本人の確かな意思であったという事実が、公証人によって保証されるのです。これにより尊厳死が本人の確かな意思であったか否かについての争いは回避される、もしくは小さくなることが大きく期待できます。

尊厳死宣言公正証書の法的効力

それでは公正証書で残された尊厳死宣言は大いに法的な効力があるのではと思われるかもしれません。しかし、尊厳死宣言はあくまでも本人の「宣言」であり、誰かを法的に拘束することはできません。例えば「契約」であれば契約をしたものに法的な拘束力を与えます。しかし、一方的な宣言では誰もそれを拘束できません。

先にもご説明しましたが、公正証書にすることで「確かに本人の意思である」旨は担保されます。しかし、それが担保されたとしても、そもそも「宣言」では他者を拘束できませんので、この点は誤解のないようにしなければなりません。

法律で決められていないので注意が必要

この制度は、実は法律できちんと決められた手続ではありません。民法では遺言書で出来る意思表示を限定列挙していて、尊厳死については一切触れていません。(そもそも、厳密に言えば自分が亡くなる前の事のお願いですから、遺言とは別問題とも言えます。)

つまり、いくら公正証書で作ったと言っても、お医者さんはその意思に従わなければいけないという義務はないのです。 では、いったい何の為に作成するのかという事ですが、実際の医療現場では、法律で定められていないにも関わらず、この遺言を残している場合、ほとんどの機関で尊厳死を許容してくれているようです。(実に約95%のケース との事)

これはお医者さんの判断によります。尊厳死を許容する立場の方から見れば、一歩間違えば殺人罪と言われかねず、リスクを負っての決断になりますので、100%必ず受け入れてもらえるというものではありません。しかし、上記の通り、かなりの実例があるので、この点は気にせずにいたほうが良いと思います。

あらかじめ家族の同意を得ておく

上記のような理由から、お医者さんのリスクを減らす事が遺言を受け入れてもらえる可能性にもつながります。後日家族から非難されるのでは、という不安を解消してもらう為にも、ご家族の了解書を書面でもらっておくとよいでしょう。

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